昨年4月から使っていたXアカウントが、昨日の夕方、突然使えなくなった。
私はXを無料で使わせてもらっている御礼のような気持ちもあり、有料プランに加入していた。広告が減るのは快適だったし、Grokも使える。まあ、Xを眺める場所代くらいの感覚だった。
ところが、アカウントが制限されるとGrokまで使えなくなった。
有料で使っているAIが、Xのアカウント凍結に巻き込まれて沈黙する。
おいおい、サービスごと道連れかい。

朝になって、異議申し立てを出してみた。
ところが、その申請を送るだけでも「ロボットではない証明」を求められる。しかも一回では終わらない。画像認証を五回ほど突破して、ようやく送信にたどり着いた。
ロボット扱いされた人間が、ロボットではない証明を五回させられる。
現代社会、なかなか哲学的である。いや、ただ面倒なだけだ。
普段あまり開かないメールを確認すると、昨夜、Xから「アカウント凍結のお知らせ」が届いていた。
理由はこうだ。
「偽装行為を禁止するルールに違反しています」
偽装行為。
私は一体、何を偽装したのだろう。
史跡好きの人間として生きていたつもりが、Xの世界では何か別の生命体に見えていたらしい。
異議申し立てへの返答は早かった。
一時間ほどでメールが届いた。スピーディーである。中身は冷たかった。

「審査の結果、当初の決定を撤回する正当な理由はない」
「アカウントの機能制限を解除するには、ログインして画面の手順を完了してください」
なるほど。
ではログインして、画面の手順を完了しよう。
そう思ってログアウトし、キャッシュもクッキーも消し、改めてログインを試みた。
結果。
ログインはできた。
だが、画面にはこう表示された。

「ご利用のアカウントは凍結されています」
そして、肝心の「画面の手順」など、どこにも見当たらない。
手順を完了しろ。
でも手順はない。
違反を解決しろ。
でも何をしたのかは教えない。
これはもう、デジタル版の禅問答である。
さらにプロフィールを見ると、フォローもフォロワーもゼロになっていた。

昨日まで普通に使っていたアカウントが、いきなり無人島になった。
投稿は残っている。プロフィールも残っている。だが誰ともつながっていない。
まるで、村八分ならぬ、X八分である。
別のアカウントからGrokに相談してみた。
するとGrokは、かなり冷静に分析してくれた。
「一度異議申し立てが却下されると、復活はかなり厳しい」
「恒久的な機能制限、つまり永久凍結寄りの扱いに近い可能性がある」
とのこと。
自社の庭で起きた出来事を、自社のAIに相談したら、ほぼ死亡宣告された。
なかなか味わい深い。
では、私は一体なぜ凍結されたのか。
Grokに聞いてみると、いくつか可能性を挙げてくれた。
まず、数日前に変えたアイコン。

これが怪しく見えた可能性があるという。
最近のXは、AI生成っぽい高品質アイコンを使うアカウントを警戒しているらしい。
でも待ってほしい。
そのアイコン、私が頼んだわけではない。
Grokが作ってくれたのだ。
Grokが勝手に作ってくれた可愛いアイコンを使ったら、Xに警戒される。
何その自社サービスによる自社トラップ。
Grokには「次にアカウントを作るなら、Grok製ではないアイコンにした方がいい」と言われた。
いや、それはもうX運営の盛大な自虐ではないか。
自分たちのAIが作った画像を使うと、自分たちのシステムに怪しまれる。
蛇が自分の尻尾を噛んでいる。いや、尻尾どころか胴体までいっている。
次に、複数アカウントの利用。
私は十数年前から使っている政治専用アカウントも持っている。同じ端末やネットワークで複数アカウントを切り替えていると、「同一人物が複数アカウントで不自然な行動をしている」と判断される可能性があるらしい。
なるほど。
同じ人間が同じ端末で自分のアカウントを使うと怪しい。
では、どうしろと。
さらに、フォロー返し。
私は基本的に自分から積極的にフォローすることは少ない。けれど、フォローしてくれた人については、金儲け系やエロ系などの明らかに変なアカウントでなければ、フォローを返していた。
これもタイミング次第では「フォロー狩り」っぽく見えることがあるらしい。
一日数件でも、機械には怪しく見える場合があるという。
なんじゃそりゃ。
そして、凍結直前に何をしていたか。
私はXを眺めながら、複数人の投稿に「いいね」を押していた。
Grokによると、これがトリガーになった可能性が高いとのこと。
Xは短時間の連続いいねを「ボット行為」や「スパム的なエンゲージメント操作」と自動判定することがあるらしい。
なるほど。
私は、いいねを押した。
すると、Xは怒った。
いや、だったらいいねボタンを付けるな。
「押してね」と言わんばかりにハートを置いておいて、押したら凍結。
なんという罠。
道端に落とし穴を掘って、その横に「こちら近道です」と看板を立てるような話である。
しかも凍結された日の朝、私のタイムラインには、フォローしていない人の投稿がずらりと並んでいた。
それについてGrokに聞くと、Xはユーザーを長く滞在させるために、エンゲージメントが上がりそうな投稿を流しているのだという。
つまりXは、ユーザーに投稿を見せる。
ユーザーが反応する。
いいねを押す。
すると、場合によっては怪しまれる。
一体どんなシステムなのだ。
ユーザーにスクロールさせたい。
反応してほしい。
でも反応しすぎると怪しい。
不自然な行動をしているのは、私のアカウントではなく、X運営の方ではないか。
そんなことを、つい思ってしまう。
そして極めつけは、有料プランだ。
アカウントは凍結。
Grokも使えない。
復活の見込みも低い。
ならば当然、有料プランを解約するしかない。
手続きを進めると、画面には「サブスクリプションをキャンセルしない」という選択肢が出てきた。
そこを押すと、凍結されたアカウントの課金が継続される。

いや、待て。
使えないアカウントに課金だけ続ける仕組み、さすがに笑う。
X、大丈夫か。
GrokとChatGPTに、私は聞いてみた。
「私ってロボットみたい?」
どちらにも笑われた。
Xのシステムにはロボット扱いされたが、会話しているAIたちにはロボット扱いされなかった。
人間に近いAIからは人間扱いされ、システムのAIからはロボット扱いされる。
もう何が何だかわからない。
ただ、Xから届いたメールには、こうも書いてあった。
「新たなアカウントを作成することにより、凍結を回避しようとした場合は、新たなアカウントも凍結します」

なかなか重い。
私はそんなに信頼を損なうことをしたのだろうか。
そんな酷いことをした覚えはない。
投稿していた内容も、空の写真や神社の話、道端で見つけた虫の話くらいである。
石上神宮の形代に喜び、キラキラした虫を見つけて喜んでいた。
それが「偽装行為」だと言われても、正直、何をどう反省すればいいのかわからない。
こういうのは、地味に効く。
大喧嘩して追い出されたならまだわかる。
だが今回は、理由を詳しく教えられないまま、静かに外へ出された感じがする。
「あなたはここにいてはいけません」
そう言われたような気がして、思ったより心に残る。
先日、「Grok利用者が激減している」というニュースを見た。
そのときは、ふーん、くらいに思っていた。
でも今なら少しわかる。
Grokがどうこう以前に、Xのアカウントが突然使えなくなれば、Grokも使えない。
有料会員でも容赦なく締め出される。
異議申し立てをしても、具体的な説明はない。
復活の道筋も見えない。
これでユーザーが残ると思う方が、むしろ不思議だ。
いいねを押したら、私はロボットになったらしい。
Xの世界では、石上神宮と虫が好きな人間も、ある日突然、偽装行為者になる。
なかなかすごい時代である。
そして私は今日、Xを解約した。

ちなみに私は、この騒動の直前に恐竜のお皿を買った。
残り一枚だったお気に入りだ。
「見て見て~!」とXに投稿するつもりだった。
しかし、その前に私はロボットになったらしい。
恐竜のお皿を自慢したかっただけなのに。
人生とはなかなか思い通りにならないものである。
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