宇治橋──流れていくのは水だけではない

宇治橋──流れていくのは水だけではない

🍁 京都府の史跡

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橋姫、石塔、そして人の記憶

「日本三古橋」の一つとも言われる宇治川にかかる宇治橋。昔風のつくりで妙に風情がある、橋だけみているとタイムスリップした感覚になる。平安貴族が牛車に揺られ通っていてもまったく違和感がない。

宇治川は水の流れが物凄く速くて急な暴れ川として有名。昔は宇治橋が洪水で流されるのは日常茶飯。更に戦略上の要所だったから、戦争の度に焼かれたり壊されたりを繰り返してきた。

景観を壊さないよう、ガードレールにあたる部分はヒノキ。橋の柱の頭についている飾り、擬宝珠も伝統的な形。中には、寛永13年という江戸時代の刻印が入ったものもそのまま使われているという。形だけではなく、使える実物を残すことで1000年以上の歴史をつないでいるのが宇治橋だ。

しかし、橋の中身はコンクリート。宇治橋の上は特に強風が吹きすさびゴーゴーと唸るような音 。日傘や帽子も壊れそうだし飛ばされそうで、バッグの中に緊急避難した。橋の上にはひっきりなしに車が走り観光客も多い。なのに、宇治橋は一切揺れない。現代の交通量や大洪水にも耐えられるよう土台や芯の部分は最新のコンクリートと鉄筋でガッチリ固められている。

橋の途中でちょっと外側に貼りだしたスペース・三の間がある。元々は宇治橋の守護的な存在としても語られる橋姫が祀ってあった場所だ。この三の間、秀吉が茶会の時にここから宇治川の水を汲ませたと伝わる。

今も宇治には、縁きり神社として信仰されている橋姫神社がある。カップルで宇治橋を渡る時に橋姫の悪口を言うと別れさせられるなんていう都市伝説もある。橋姫は時代とともに、優しさと恐ろしさの両方を持つ存在として語られてきた。


なにしろこの橋姫、嫉妬に狂い貴船神社にお参りを続け神託を授かったという。伝承では、神の助言?通り、髪を角のように結い、顔を朱に塗り、頭に鉄輪を被り、松明5本を燃やした姿で宇治川に21日間浸かった。こんな急流の宇治川に21日間浸かり続けるって現実にはあり得ない話だが、とにかく鬼の格好のまま川につかり生きながら本物の鬼になった。対象の男性とその相手の女性とその親族たちを皆殺しにし、暴走とまらず通行人まで襲った。

宇治橋の前には紫式部像がたっている。源氏物語のクライマックスである「宇治十帖」の舞台だから。光源氏の息子や孫の時代の話だが現代の昼ドラもビックリするようなドロドロした「こじらせ」と「格差」と「愛執」の物語。誰も幸せにならない。巻物を読んでいるかのような紫式部像を見ながらため息をついた。「所詮世の中こんなもん!」と読者に突き付けた紫式部ってシニカルな人だったんだろうな(笑)

喜撰橋を渡り、宇治川の真ん中にある中の島へ。川の流れの中にあった砂州をもとに整備された島 。島をつくることで宇治橋にかかる水圧を分散させるという役割もあった。まず目につくのが1286年に叡尊が建てた15mの高さの日本最大13重の石塔。漁に関わる供養のために建てられたとされる 。


江戸時代には13重の石塔が大洪水で倒れ、その後200年近く川底へ沈んでいた。引き上げられたのは明治時代になってから。この宇治川、足元には漁具が埋まり、鬼になった女が祀られ、中の島は水害との戦いの記録、可愛いけれど怪しい兎伝説もある。奔流な川の流れの奥にいろいろなものがつまっている。

13重の石塔を越え川岸に行き対岸を望む。観流橋からの水の流れが荒々しくて大迫力。十津川村で見た噂だけすごいが実はショッボい滝よりも断然に威力がある。みていてスカッとするほど。

中の島で癒されたのが、鵜たち。喜撰橋の横には鵜飼観覧船乗り場がある。鵜匠は代々男性が受け継ぐものだったが、宇治川では2003年に女性鵜匠が誕生した。彼女たちは世界初・海鵜の人工孵化に成功した。巨大な飼育部屋の中には、人工孵化で生まれた可愛い海鵜が何羽も飼育されていた。中には大きなプールもあり泳いでいる鵜、止まり木にとまりじっと川を眺める鵜、そして一羽だけ見張りのように人間側近くの手前にずっといた。

宇治川の鵜飼は平安時代には既に行われていた。篝火で魚を驚かせ、訓練した鵜に魚を飲みこませて捕まえる漁法。貴族たちは豪華な船に乗り、飲酒をし歌詠みをしながら、鵜匠が鮮やかに魚を捕る姿を鑑賞していた。今でいうディナーショーや花火大会みたいなものだ。

気の毒なのが、鵜の首には紐が巻かれている。小さい魚は飲みこめるが大きい魚は飲みこめないという絶妙のキツサに調整されている。

朝霧橋を渡り向こう岸へ渡ったが、橋の上はとにかくすごい強風だった。そして近くに海があるわけでもないのに磯の香りがした。宇治橋を渡る時も同じように磯の香りがし、海を思い出した。

宇治は平安京から見るとちょっと遠い隠れ里みたいな地。1000年前の貴族たちも宇治川のほとりでこの磯の香りに包まれ京にいながら、海の気配を感じていたのかもしれない。

Googleマップ:宇治橋
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宇治橋と中の島 の写真一覧

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