🏞️兵庫県の史跡
今日も来てくれてありがとう!よければ一押しポチっと応援してってね〜。【エッセイ編:落ちそうで落ちない岩と、落ちなかった城】
「天空の城」だの「虎臥城」だの、あれこれ立派な異名を持つ竹田城。
でも登山道の途中で出会う“アレ”には、そんな格好のいい肩書きなんて吹き飛ぶ。
——そう、「落ちそうで落ちない岩」である。

説明板にはこう書かれている。
「築城以来、約170年間、住民の間で“落ちない岩”として語り継がれ……」
いや、確かにロマンはある。
でも私が近づいて観察してみると——どう見ても落ちないように勝手に安定している。
下にはしっかり“支え岩”が噛み合っていて、小石が絶妙なポジションに挟まっている。
「奇跡の岩」じゃなくて
「自然地形+ちょっとした補正で完成した安定構造」 だ。

穴太衆が仕込んだ可能性?
うん、それはさすがに人間不信が過ぎる。言いかけて飲み込んだ。
(私の心が汚れているだけかもしれない。知らんけど。)
ただ、こういう“落ちない系アイテム”は歴史的にはだいたい縁起物として愛される。
例に漏れず、この岩もいつの間にか受験生の聖地になっていた。
まあ、縁起も景色も良いんだから、それでいい。
冬季(1〜2月)は登山道が凍結して閉鎖されるので、受験前に祈願したい人は要注意。
石垣の威圧感、異常。
竹田城は建物が残っていない分、石垣が“むき出しのまま文化財してくる”。
尾根の最も高いところに天守台と本丸。
そこから北千畳・南千畳・花屋敷が尾根に沿って展開し、放射状に縄張りが伸びる。
どの角度から見ても、“虎が伏せた姿”と言われるのが納得だ。

特にすごいのは、
「なんでこの断崖にこんな石垣積めたん?」
と脳が理解を拒否するレベルの施工技術。
当時の職人は、斜面に巨大な足場を組んで、
ズレたら即死の場所で石を積んでいった。
裏側には裏込石がびっしり詰まっていて、
“完全に積む”というより、“崩れないように力学を操る”という感じ。
中には後世の観光客が置いたっぽい悪戯石もあるが、
石垣そのものは本物の職人芸そのものだ。

眺望は爽快というより、“統治者の視界”に近い。
眼下の田畑、川の流れ、城下の道。
ここに立てば、この地を治める者がどんな視界で但馬を眺めていたかがわかる。
私は思った。
「これ、田んぼ監視めっちゃ便利じゃん」
もちろん実際の意図は交通と軍事監視である。
だが高所に陣取る者なら誰でもこう思ってしまうだろう。
“この地は私のものだ”と。

大河ドラマの撮影で仮設の館が建ったとき、
地元の人は「昔の城が蘇ったようだった」と誇らしげに話した。
石垣だけの今が惜しいぐらいだ。
【歴史編:竹田城が、なぜ“天空の城”になったのか】
竹田城が築かれたのは15世紀前半。
但馬守護・山名宗全の時代であることは確かだが、
1431年説・1441年説など細かな年代には学術的議論がある。

当初の竹田城は、土塁と堀切を備えた典型的な“中世山城”。
今のような石垣の美城ではなく、
木柵と柵列が並ぶ素朴な軍事拠点だった。
1580年、秀吉の但馬攻めにより開城。
武力衝突というより“政治的降伏”に近い形だったらしい。
その後、秀長→桑山氏と城主が変わり、
1585年、龍野の赤松広秀が竹田城主になる。
ここから竹田城の運命が変わる。

赤松広秀の“大改修”——穴太衆の技術を呼び寄せた男
広秀は秀吉の直臣として、但馬防衛線の要である竹田を大改造した。
穴太衆の技術を導入し、
“虎が伏せる山城”という唯一無二の造形美 を完成させたのが彼だ。
地元伝承には「石垣の築造に15年かかった」とある。
史料的に確定ではないが、
実際の規模を見れば、それが誇張だとはとても思えない。

1600年——完成を見ぬまま終わる命
関ヶ原で西軍についたため、広秀は切腹を命じられる。
竹田城は廃城となり、建物は壊され、石垣だけが残った。
山頂に立つと、広秀の“未完の城”が胸に刺さる。
あれほどの石垣を完成させながら、
自分の人生の完成は許されなかった男。
風が吹くと、少しその無念が漂ってくるようだ。

竹田城は但馬の中央を流れる円山川・竹田川に囲まれ、古城山(標高353m)の山頂を占めています。
地図を見ると一目でわかりますが、北・西・南の三方が急峻な斜面で守られ、東側の尾根筋だけが比較的緩やかにつながっています。
この“東の門”こそ城の生命線で、北千畳・南千畳・花屋敷といった曲輪群が尾根に沿って放射状に配置されています。
地図を眺めながら読むと、竹田城の構造がより立体的に感じられるはずです。
ぜひ下記の地図で城と地形の関係を確認してみてください。

断崖の石垣に立ち、眼下の町と川を眺めていると、
この場所が何百年も人を引き寄せてきた理由が素直にわかる。
また季節を変えて訪れたくなる——そんな城だった。
竹田城 写真一覧



























































































































































































































































































































































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