立雲峡(りつうんきょう)— 竹田城を見晴らす山の物語

立雲峡(りつうんきょう)— 竹田城を見晴らす山の物語

🏞️兵庫県の史跡

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朝来市にそびえる朝来山の中腹にある立雲峡。
ここは“天空の城”として人気の竹田城を真正面から見渡せる場所として知られている。
雲海の季節には、竹田城が雲に浮かぶ幻想的な姿を求めて多くの人が訪れる。
しかも日の出前の暗い山道を朝霧に包まれ水浸しになりながら登りようやっとその姿が拝めるという。


私は雲海はいいやって思ったのだけれど当日、自宅を出発するとき、神という存在がいるのなら豪褒美?ここで雲海体験をせめてさせてくれているのか?と思ってしまうほど濃い霧が一体を覆っていた。数十分間、前が見えなくて運転に支障がでるほどの濃い霧でヒヤヒヤ。


■ 三つの展望台

立雲峡には、登山口から順に

  • 第三展望台(徒歩約5分)
  • 第二展望台(徒歩約10分)
  • 第一展望台(徒歩約25分)

と三か所の展望スポットが設けられている。

ただし、この“5分・10分・25分”という案内は、かなり健脚向けの数字。
実際はもう少し時間がかかると思った方が気が楽だ。
道は急勾配で、岩の段差もあり、なかなか体力を使う。

第一展望台まで登ると、竹田城をほぼ真上から見下ろせる絶景が待っている。
私はあと少しのところで時間切れのため引き返したが、
第一展望台は標高約420m。山頂(757m)まではまだ半分。
立雲峡は思っているより“本格的な山”だ。


■ 竹田城を見るのに最適な理由


そして山城好きとしてはつい軍事目線で見てしまうのだが──立雲峡からの眺めは、竹田城の縄張り構造を立体的に理解できる貴重な視点である。

石垣の形、虎口の位置、斜面利用の巧みさなど、
山城としての強さがよく分かる。

戦国時代に「立雲峡」という名称はなかったが、竹田城主も警戒していたはず。
この山の位置関係を見ると、もし偵察が行われたなら
ここから竹田城の様子を観察した可能性は十分考えられる。よって当然ながら偵察や見張りの兵は特に警戒時には配置されたのだろう。また城下町でも常時見張りはいる。

天然の要害で囲まれ、石垣で防御力を高め、虎口や横矢掛かりなど山の地形をいかした緻密な縄張り技術により防御力の高い山城である竹田城。分散させるよりも竹田城に防御力を集中させたのだろう。
しかし、時代が変われば役目も終わり、あっけなく廃城になってしまう。
今、観光地として多くの人に親しまれ、その姿が語り継がれていることが
せめてもの救いのようにも思える。


■ 立雲峡の自然と歴史

立雲峡の山桜は古くから知られている。
樹齢300年以上とされる桜も多く、
中には根と幹だけで生き延びてきた「根性桜」と呼ばれる木もある。

大きな岩も点在し、「岩張る松」と名付けられた注連縄付きの岩や、
リスの生息地が示された場所もあり、自然の見どころも豊富だ。

さらに、展望道から外れた場所には
ひっそりと小さな愛宕神社が佇んでいる。
京都・愛宕神社(総本社)に起源を持つ愛宕信仰は、
中世以降に修験者によって広まった。
竹田の町でも火伏せの守り神として大切にされてきており、
今でも毎年7月には「竹田松明祭」が開催されている。

第二展望台から第一展望台へ向かう途中には
「夫婦円満の聖地 →」という看板も。
ただ、私が訪れた日は看板の先が封鎖されており、
“夫婦円満の聖地は、現在閉鎖中”という
なんとも言えない光景だった。


■ 立雲峡の名付け親は、まさかの人物

立雲峡という名称ができたのは昭和初期のこと。
朝来山を訪れた松本卯一郎氏
「ここは将来、大景勝地になる」と確信し、開拓を進めた。

そして新聞掲載などで広く紹介される中で、
松本氏は尊敬していた人物──
アジア主義の大物として知られる 頭山満(頭山翁) に依頼し、
その雅号から「立雲峡」と名付けてもらった。

竹田城の絶景と頭山翁という、
思わぬ“歴史の縁”がここでつながっている。


■ おわりに

立雲峡は、竹田城を見るためだけでなく、
自然・歴史・信仰が静かに重なり合う場所だ。
急斜面を登った先に開けるあの景色は、
写真以上の迫力と静寂を持っている。

竹田城を訪れるなら、ぜひ立雲峡もセットで。
山と城と人の物語が、ここではっきりと見えてくる。

Googleマップ:立龍峡it
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立雲峡の写真一覧

2025/11

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