カエルがうずくまっているように見える『かえる島』。
名前を聞いた瞬間から、もう勝ちだと思った。
実際に眺めてみると、なるほど、たしかにカエルだ。
「本当だ、カエルそっくり!」と一人で盛り上がっていた。
江戸時代、語呂合わせやダジャレが流行した頃、この島が祈願対象になったという話も後から知った。日本人は昔から、こういうのが好きだ。

背後横に小道があり、数分歩くと今子浦海岸に出るらしい。
もっと間近で“かえる島”を堪能できて、角度によってはカエルを撫でているような写真も撮れる、と。
――らしい。
旅先でこの「らしい」を信じ切ると、大抵あとで痛い目を見る。
この日は、本命だった大乗寺がたまたま入城規制中だった。
仕方なく予定を変更し、ChatGPTに教えてもらった「日本の夕陽百選・大引の鼻展望台」に急遽向かった。

暮れかかる夕陽が海に沈み、空が完全に暗くなるまで、こじんまりした浜辺で波と夕景を眺めていた。
人の気配がなく、まるでプライベートビーチだ。
静かで、悪くない。
その時点では、そう思っていた。
帰宅してから写真を見返して気づいた。
「大引の鼻展望台はこちら」と書かれた看板には、左向きの矢印が描かれている。
その先を徒歩10分ほど進むと、断崖絶壁の岬の先端に出て、270度の大パノラマで夕陽を眺められたのだという。

そういえばChatGPTも、
「展望台に向かって歩く」と言っていた。
言っていたのだ。
私が聞いていなかっただけで。
駐車場には10台ほど車が停まっていた。
けれど浜辺にも車内にも人影はなく、岩場の先に釣り人が一人いるだけだった。
不思議に思った理由が、ここでようやく腑に落ちた。

私はどうやら、絶景スポットの“一歩手前”で立ち止まり、
そこで満足してしまっていたらしい。
大乗寺も見られず、夕陽も本番を逃した。
何ひとつ失敗していないのに、何ひとつ掴めていない。
今回は、そういう一日だった。
すべてが下見。
そういうことにしておく。
暖かくなったら、今度はちゃんと、矢印の先まで歩くつもりだ。
かえる島 写真一覧



































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