予想の斜め上を超えた価値ある出石旧福冨家住宅(出石史料館)

予想の斜め上を超えた価値ある出石旧福冨家住宅(出石史料館)

🏞️兵庫県の史跡

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兵庫県豊岡市出石町の城下町に、出石旧福冨家住宅(出石史料館)がある。
福冨家は明治期に生糸を商った豪商で、この住宅は明治9年(1876)の出石大火後に再建された。出石大火は城下町の約3分の2を焼き尽くしたとされ、全焼家屋966戸、社寺39軒、土蔵290軒という甚大な被害を出している。

福冨家は京都から専門の職人を招き、当時流行していた数寄屋風建築を取り入れて邸宅を整えた。明治25年(1892)に離れ、明治45年(1912)に主屋が建てられている。その豪奢さは「土台に使われた石だけで家が一軒建つ」と言われるほどで、随所に贅を尽くした造りが見られる。戦後間もなく福冨家はこの邸宅を離れ、現在は出石町(現・豊岡市)の所有となり、豊岡市指定文化財に指定されている。

格子戸や障子の意匠は細部まで工夫され、光の入り方が美しい。廊下の窓の形にも変化があり、歩くごとに異なる表情を楽しめる。広い中庭は十分な採光を確保するとともに、人目を気にせずくつろげる空間となっている。主屋、離れ、渡り廊下、土蔵が連なり、建物内部には数段の段差も設けられ、空間にリズムを与えている。

縁側突き当たりの壁に描かれた絵や、富嶽を題材にした欄間の意匠は、屋内にいながら自然を感じさせる。床の間や天袋の襖絵も落ち着いた中に華やかさがあり、梁に施された鳥を模した鎹など、細部にまで意匠が凝らされている。

この住宅には三つの庭があり、その一つには「出石城跡山里郭より発見。このほか鍛冶屋区に一基確認」と説明された石造物がある。これは古田織部考案とされる織部灯籠で、上部を広げた形状の中に十字架を意匠として忍ばせた、いわゆるキリシタン灯籠の一例と考えられている。

迷路のような建物を進むと土蔵に至る。内部は展示室となっており、仙石家ゆかりの品々が展示されている。陣太鼓、陣笠、永楽銭紋入二枚胴、金箔押軍配団扇などのほか、仙石秀久ゆかりの武具も並ぶ。火縄銃が発見された際、磨き直したところ仙石家の家紋が現れたという新聞記事も展示されており、興味深い。

台所には当時の生活を感じさせる展示も残されており、右読みの「解熱鎮痛剤ノバポン」と、左読みの「イソライト超効率かまど」という表記が並ぶ様子は、時代の過渡期を感じさせる。

外観からは想像しにくいが、内部は見どころが多く、見学後の満足感は高い。出石旧福冨家住宅は、実際に訪れてこそ価値が分かる史跡である。

Googleマップ:出石旧福冨家住
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出石旧福冨家住宅(出石史料館)の写真一覧

2025/12

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