普通の人間は山に入らない――玉置山で見えた世界

普通の人間は山に入らない――玉置山で見えた世界

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細い急カーブが続く山道を抜けると、突然、視界が開ける。
標高1,000m、玉置山展望台だ。

駐車場には一台の車。中では男性が一人、静かに食事をしている。
この場所の使い方として、たぶん正しい。

さらに上へ。木製の展望台に立つと、風がそのまま体を通り抜ける。
目の前には、連なる山、山、山。
名前を挙げるだけで息が切れる。

果無峠、ブナノ平、和田森、引牛峠、牛廻山、丸尾山、天上山、鉾尖岳、護摩壇山、伯母子岳、卯月山、中八人山、釈迦ヶ岳、地蔵岳、笠槍山、蛇崩山。

どこまで見ても、終わりがない。

山の麓には、川に沿って家々が並び、小さな集落が点在している。
こんな場所にも、人は生きている。

ふと振り返ると、さっき登ってきた道が見えた。
思っていた以上に急だ。
木々の間に消えていくその道は、まるで下へ落ちていくジェットコースターの軌道のように見える。

ここには、無料で使える20倍の双眼鏡が置かれている。
覗くと、さらに奥の世界がある。

少し離れた場所には「世界遺産 大峯奥駈道」と刻まれた石碑。
ここは、その修行の道の重要な拠点だ。

大峯奥駈道。
約1,300年前、役行者によって開かれたとされる、吉野から熊野へと続く170kmの山岳道。
空海も歩いたと伝わる。

今は整備され、登山道として歩ける。
だが当時は違う。
道も曖昧、装備もない。山に入ること自体が、生死の境だったはずだ。

軽い気持ちで名前を口にしていた。
役行者、空海――

でも、ここに立って初めて思う。
あれは、ちょっとした信仰じゃない。
生き方そのものが、すでに異常だ。

そもそも、どういう人間が山に入ろうと思うのか。

役行者は、子どもの頃からかなり変わっていたらしい。
人と馴染むより、一人で山に入る。

山に入って、戻ってきたら「え、生きてるやん」と囲まれ、
木の皮をかじって元気になったと言えば「それ何!?」とまた囲まれる。

そんな成功体験を積み重ねていったのかもしれない。

……知らんけど。

でも、少なくとも“普通の人”ではなかったはずだ。
普通の人間は、山に入らない。

石碑の場所からは、西峯や天皇山が見渡せる。
空気が澄んでいれば、その先に太平洋、熊野灘まで見えるという。

山の中から、海を見る。

ここから、役行者や空海も、熊野の海を想像していたのだろうか。
あるいは、何も見ていなかったのかもしれない。

条件が揃えば、足元には雲海が広がるという。
世界が白く沈み、自分だけが浮かぶ景色。

こんな場所に立ってしまえば、
人が山に取り憑かれる理由なんて、説明はいらない。

ただ一度、見てしまえばいいだけだ。

Googleマップ:玉置山展望台
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玉置山展望台の写真一覧

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