🍁 京都府の史跡
今日も来てくれてありがとう!よければ一押しポチっと応援してってね〜。わずか10年間だけ都だった長岡京。
長岡京宮跡の一角に、入場無料の向日市文化資料館がある。
無料。しかも小さい。
なのに内容はかなり濃い。
そして見学者が、誰もいない。
……この条件、もはや勝ち確である。

館内には、発掘された瓦が並ぶ。精緻な模様が刻み込まれていて、手抜きの気配がない。
長岡京の想像図や復元模型もあり、「都」という言葉が急に現実の重さを持ちはじめる。
特に刺さったのは、当時の役人が手書きで綴った文書だ。
文字が、妙に生々しい。
遠い時代の話なのに、感情と苦悩が紙から滲み出てくるみたいで、見ているだけで気持ちが沈む。

「都」と聞くと、華やかで文化的で洗練されていて——と、脊髄反射で思ってしまう。
でも、庶民の側の現実を知ると、都移転なんて迷惑以外の何物でもない。
もちろん為政者側も、権力闘争で命懸けの綱渡りだ。
だからこそ庶民を踏み台にする。
生き延びるための合理性が、倫理を踏み潰す。
人間社会の“いつもの構造”が、ここにある。
784年に長岡京遷都が発表されると、都の予定地内に住んでいた農民は、わずかな立ち退き費用だけで追い出された。
展示の解説によれば、都造営のために31万4千人もの農民が諸国から強制的に集められ、穴掘り、瓦運び、土運びなどの基礎工事に従事させられたという。
残された家族は、稼ぎ頭を失う。
それだけじゃない。重税も来る。
庶民にとっては、地獄である。

一方で、朝堂院(今で言えば国会議事堂のようなもの)や内裏(皇居に相当する場所)は、突貫工事で完成していく。
難波宮を取り壊した資材が転用され、専門の技師や工匠が動員され、道路整備や橋まで整えられた。
役所や宮殿の礎石の下には川原石が幾重にも積まれ、直径70cmほどの柱で厳重につくられたと説明されている。
……この“ガチさ”、嫌いじゃない。
ただし、そのガチさの燃料は庶民である。
資料館には、建設に使われた工具類も展示されていた。
ボロボロの服で肉体労働に勤しむ農民の姿を再現した展示もある。
そして食事。

とても貧しい。質素すぎる。
米と塩は支給されたが、それ以外が欲しければ自己調達。
つまり塩と米だけの食事は、当時の大多数の庶民にとって“普通”だったらしい。
この時点で、もう現代の私ですら息が詰まる。
人間って、ここまで追い込まれても生きていくんだな、と変に感心してしまう。

一方で、役人の食事は別世界だ。
展示されていた「役人の食膳」は、現代のヘルシー定食みたいな雰囲気で、栄養バランスも良さそうだった。
しかも、お米は精白した白米。
奈良時代に白米を食べていたのか……と、ここで謎の衝撃を受ける。
もちろんおかずも数種類。
しかも役所から支給される。
“働く人のための福利厚生”が、ここにはある。
ただし対象は選ばれた人間だけだ。

身分の高い役人は、服も違う。
現代人が見ても「良い布だな」と分かる鮮やかな良質服を着ている。
支配層の貴族に至っては、鳥獣の肉を好んで食べていたという説明もあった。
食事の品数も量も豪華で、目が追いつかない。
庶民が“生きるために食べる”なら、
貴族は“豊かさを見せるために食べる”。
同じ人間のはずなのに、世界が違う。

さらに展示では、古代のキャリアウーマンである尚侍(女官長)が、現在の7000万〜8000万円相当の給与を得ていた、という話も紹介されていた。
しかも無税だったという。
この瞬間、私は思った。
人間社会の構造って、いつの時代も変わらない。
上は上で守られて、下は下で潰れる。
そしてその仕組みを“当たり前”として回していく。
……で、自分もその人間側にいるのが強烈に笑える。
笑えるというか、笑うしかない。

向日市文化資料館は、長岡京だけじゃない。
旧石器時代から現代までの向日市・乙訓地域の歴史年表があり、各時代の土器や道具類の展示もある。
長岡京で発見された古代のハサミも展示されていて、試し切りができる。
これが地味に難しい。
ハサミの歴史なんて今まで気にしたこともなかったのに、ここにはハサミ年表まである。
知的満足が変な角度から殴ってくる。

小さな無料資料館なのに、やることが本気だ。
そして誰もいない。
……もったいない。
都は、夢みたいな顔をして、庶民の人生を燃料にして建つ。
その現実が、ここでは静かに展示されている。
無料で見ていい内容じゃない。
むしろ、無料だからこそ刺さる。
長岡京宮跡の一角にある「向日市文化資料館」。
入場無料の小さな施設ですが、長岡京の復元模型や瓦、役人の文書、そして庶民・役人・貴族の食膳展示まで揃っていて、内容は想像以上に濃いです。
長岡京エリアを歩く前後に立ち寄ると、“都の裏側”が一気に立体的になります。

向日市文化資料館は、長岡京宮跡の一角にある入場無料の小さな資料館。
でも中身は、無料の顔をした“本気の展示”だった。
瓦や復元模型で「都」の姿を立体的に想像できるだけじゃない。
役人の手書き文書が生々しく、当時の感情が急に現代へ迫ってくる。
そして一番刺さるのが、庶民・役人・貴族の食膳展示。
都の華やかさの裏で、庶民が労役と重税で削られていた現実が、静かに可視化されている。
都は夢の顔をして、庶民の人生を燃料にして建つ。
その“人間社会のいつもの構造”を、無料で突きつけてくる資料館だった。
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向日市文化資料館の写真一覧



















































































































2025/06






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