Googleマップを開くと、そこにはしっかり表示されているのです。
**「藤堂高虎遺跡 藤堂高虎供養碑」**という文字と、誇らしげな史跡ピン。
藤堂高虎――江戸時代、木津周辺を治めたあの名将の名を冠した供養碑が、なんと木津川市加茂にある!そう聞けば歴史好きなら心が躍るし、Googleマップが「目的地に到着しました♪」と爽やかに告げてくれれば、テンションも最高潮!
……だったのに、だ。
360度見回しても、そこにあるのはただの細道と行き止まり。
右を見ても家、左を見ても家、下を見ても舗装、上を見上げれば……いい天気。
いやいや、空じゃない。探してるのは藤堂高虎。

呆然としていると、道の奥の家から一人の御じい様が登場。
恐る恐る「このあたりに、藤堂高虎供養碑が……」と聞くと、
「ああ、またか」という達観した苦笑いとともに、「ここだよ」と山を指差してくれた。
……山。
いや、草木モジャモジャの、まさにジャングル。
しかも「ここからは登れないんだよねぇ…」と、思わず座り込みたくなる一言。
なんとこの御じい様、あまりにも多くの人が「供養碑どこですか?」と訪ねてくるものだから、
昔、自ら草を刈って手作りの登山ルートを作ってあげたことがあるのだとか。
その心意気、泣ける……!
でも現実は非情。竹も草も木も、人の思い出より成長が早い。
すぐに自然に飲み込まれ、ルートはまたしても消滅。
結局今では、藤堂高虎供養碑にたどり着けるのは、
草木の魔境に怯まず、前方不明・足元不明の山中に己の運命を委ねられる勇者だけ。
もはやこれは供養じゃなくて試練。
とはいえ御じい様は優しかった。
「ここからは無理だから」と、代替ルートを丁寧に教えてくれたのです。
指示通り遠回りして坂を登り、別のルートからアクセス……したのですが、
そこもやっぱり木々の壁&雑草の迷宮。入る前に心が折れそう。

思わず叫びたくなる――
「これが名将の扱いか、木津川市さんよぉ!!!」
ネットには、供養碑の石塔の写真をドヤ顔で載せている投稿もあって、
「あの人、たぶん御じい様ルートで奇跡的に辿り着いた選ばれし者なんだろうな…」と、
しみじみしながら失笑とともに帰路に就きました。ちゃんちゃん。
歴史というのは、語り継がれるもの――
ではなく、草に埋もれて見失われることもある、ということをこの旅は教えてくれました。
でも、その記憶を求めて迷う人がいる限り、
藤堂高虎供養碑は、静かに山の奥で誰かの訪れを待っている……のかもしれません。
藤堂高虎の供養碑──一応、地元の誇り……のはずなんですが、草がそれを全力で阻止中。道案内どころか、地元もそっと見守るスタンスです。とりあえず、地図だけは置いておきますね。

“行けたらラッキー”くらいの気持ちでどうぞ。高虎公には申し訳ないけれど、今のところ最強なのは草です。
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