當麻寺と、私のツッコミ旅

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ずっと行ってみたかった當麻寺(たいまでら)に、ついに足を運んできました。目的はひとつ。あの伝説の修験道祖・役小角(えんのおづぬ)由来の陀羅尼助(だらにすけ)を煮込んだ釜と、彼が水を加持したという井戸を見ること。しかもこの一帯、もともとは彼の持ち地だったというじゃないですか。もう役小角推しとしては聖地巡礼確定ですよね。

しかし、當麻寺といえば有名なのは中将姫(ちゅうじょうひめ)。彼女の名前を聞くと「あ〜、曼荼羅織った人でしょ」と思い出す人も多いはず。けれど私は、中将姫の話がどうも腑に落ちない。たしかに、女性は往生できないとされていた時代に、極楽往生した“伝説の姫”として崇められる存在。けれどその物語、どうにも盛りに盛られた感が強すぎて、正直ちょっと引く。

役小角が加持した井戸。この井戸水で陀羅尼助をつくったとされている。

まず、彼女の生涯がファンタジーすぎる。捨て子にされ、山に捨てられ、武士夫婦に育てられ、たまたま狩りに来た実父に再会し……って、いやそれは『白雪姫』ですか?『ヘンゼルとグレーテル』ですか?という展開。しかも、その後は阿弥陀如来が尼の姿で現れて、曼荼羅を織らせ、13年後のピンポイントな日に迎えに来るという。

この「13年後の3月14日ちょうどに死ぬ」っていうのも、なんだかおかしい。そこまで正確に死ぬとか、逆に演出くさくないですか? 私なんか、「え、それって寺で処理されたんじゃ……」なんて妄想までしてしまいましたよ(笑)

さらに、彼女をかくまったとされる場所が全国に乱立。奈良県五條市、宇陀市、曽爾村、和歌山、有田市……多すぎ! 「姫が通った道」「餓え坂」「恋野」など、地名や民話が次々に現れる。そのどれもが「中将姫はここでも奇跡を起こした」と主張するけれど、むしろその手広さが信憑性を下げている気が……。

役行者が陀羅尼助を精製したとされる釜

でも、當麻寺に行って思ったのは、そういう「盛られすぎた伝説」もまた、そこに人が集い、信仰が生まれ、風景が残される力になってるんだなということ。私には中将姫の心情は理解できないけど、曼荼羅を織って極楽に行きたい!と心から思った人たちがいたこと自体には、ちょっとぐっと来た。信仰って、そういうもんかもしれませんね。

そして何より、當麻寺の中之坊の宝物館で見た「中将姫の髪の毛で刺繍した仏像図」。ごめん、ちょっとキモかった(笑)でもその気迫、すごかった。信仰の力って、ほんと侮れません。


歴史編:當麻寺の由緒と中将姫伝説

當麻寺のはじまりは飛鳥時代、用明天皇の第四皇子・麻呂子親王が河内国に建立した禅林寺とされ、それが天武天皇の命により當麻の地に移されたのが始まりとされます。役小角がこの地の所有者であり、説得の末に譲渡されたという伝説もあり、この寺には修験道的な要素も残されています。

當麻寺は中将姫伝説で全国的に知られます。継母に捨てられた姫が苦難の末に寺に入り、曼荼羅を織り、阿弥陀如来に導かれて極楽往生を果たすという物語は、平安末期以降、浄瑠璃や歌舞伎、謡曲などに取り上げられて大衆化していきました。

また、中将姫をかくまったとされる家や地名、遺跡は全国に点在し、五條市の「中将倉」や「餓え坂」、宇陀市の青蓮寺、和歌山の伊藤ヶ獄など、多くの伝承が残されています。

當麻寺はもともと女人禁制でしたが、中将姫の祈念により解禁されたとされ、尼僧としての剃髪堂も残されています。本堂には巨大な当麻曼荼羅が安置されており、極楽浄土の世界を細密に描いたこの図は、中将姫信仰の中心となっています。

その他、當麻寺には白鳳・天平・藤原・鎌倉時代の仏像や建築が多数残り、特に四天王像は法隆寺に次いで日本で2番目に古いとされ、顎髭をたくわえた独特の造形が特徴です。

奥院には浄土庭園が整備され、曼荼羅の世界観を具現化した幻想的な景観が楽しめます。


當麻寺は、伝説と信仰と歴史が渾然一体となった特異な空間です。信じるかどうかはさておき、現地に立つとその雰囲気に圧倒されること間違いなし。訪れるなら、ぜひ中将姫の伝説の舞台とされる周辺エリアにも足を伸ばしてみてください。

Googleマップ:當麻寺

當麻寺を歩けば、千年以上語り継がれてきた「信じる力」が、石仏や曼荼羅、そして町並みの中に息づいていることが実感できます。中将姫に共感するもよし、疑うもよし。けれどその“場”のエネルギーは、きっと誰の心にも届くはずです。


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