住宅地の中にひっそりと、西福寺という“異空間”
今日も来てくれてありがとう!よければ一押しポチっと応援してってね〜。上狛の環濠集落を歩いていると、ふと現れる小さな看板に「西福寺」の文字。……でもその先には、普通の住宅。門は閉ざされ、玄関横の表札には「西福寺」と並んで家族の名前がズラリ。「え?ここ本当にお寺? 民家ちゃうん?」と、思わず二度見してしまう光景です。
しかも案内板なし、看板なし、唯一のヒントは瓦屋根の上にチラリと覗くしゃちほこ。
もはや“知る人ぞ知る寺”というより、“知らなければ入れない寺”。
実は、裏門から入るとさらに混乱します。草が生えた駐車場らしきスペース、干された洗濯物、家の気配が濃すぎる。そして、その向こうにうっすらと見えるお寺の屋根……いや、もう完全に民家やん!

さて、この西福寺、実は「正門」がなかなか見つからないことで一部では有名(?)だったのですが……でも、今回ついに「正門ルート」見つけました!しかも、目印は「小さな郵便局の斜め向かいにある小さな看板」。地味だけど確かなヒントです。そこから路地を進むと、ようやく西福寺の正門にたどり着けます。
こぢんまりとしたお寺ですが、境内は手入れが行き届いており、今も地元の方々に大切に守られていることが伝わってきます。門をくぐると、鐘楼、地蔵堂、丁寧に手入れされた境内——小さいながらも気品と静けさに満ちた、素敵なお寺でした。

そして境内の片隅には歴代の上人たちの墓が並び、石碑には時代の風雪が刻まれていて文字も読めないものが多い。ぎゅうぎゅうに立ち並ぶその姿を見ていると、「人ってやっぱり最後はみんなこうなるんだな」と、しんみり。まさに、“兵どもが夢の跡”。人生、長いようで、あっという間にかけぬけるものかもしれません。
なお、このお寺、めちゃくちゃ小さい敷地に建っているうえ、本堂のすぐ裏は民家。というか、もう半分民家みたいな雰囲気。干された洗濯物が風になびき、庭の草と表札と駐車場と……たぶん訪問者の多くが「え?ここ、家じゃないの!?」と戸惑います。
実際、「正門」がわからずに裏手から入ってしまう人も多いようです。でも大丈夫。裏門から本堂までは、たった十秒の距離。むしろ民家の庭を突っ切ったような体験を経て本堂に着いた方が、“記憶に残る参拝”になるかもしれません。(笑)

狛氏の魂、いまだ“個人宅っぽい寺”に眠る
この西福寺、実はただの寺じゃない。戦国武将・狛山城守秀の菩提寺であり、山城国一揆を率いた国人領主・狛氏の本拠地に建つ、れっきとした歴史スポットです。
創建年は不明ですが、永禄3年(1560年)に僧・道春が中興したという記録が残されています。本尊の阿弥陀如来立像(12世紀作)、聖観音立像(11世紀作)などが堂内に安置されており、ほかにも不動明王や地蔵菩薩像、肖像画や位牌など貴重な品々が残されています。
中でも注目は、織田信長に仕えた狛秀綱の存在。彼は本能寺の変後に「二君に仕えず」と言い残して隠居。潔すぎるほど武士らしい最期を遂げました。

その子孫・狛忠政は、江戸時代に織田家を頼り松山藩へ仕官、後に柏原へ転封され知行100石を得て明治維新まで続きます。一族の歴史、まさに“密やかなる戦国ロマン”。
さらにすごいのが「狛文書」。これは応仁・文明の乱から信長の時代にかけての南山城の実像を描く超貴重な古文書群。なんと、これを旧家臣団「狛連中」が守り伝え続け、平成23年度には京都府指定文化財に。……って、教科書に載せてよ!!
こうした地域の宝が、今も“個人宅風”の静かな空間にひっそりと息づいているというのは、奇跡的なことです。

文化財の“住居化”という悲劇
さて、西福寺はその成り立ちからして超貴重な史跡なんですが――
現実としては、「普通の家にしか見えない」「気軽に見学もできない」「看板も案内もなし」状態。
これだけの文化的価値を持ちながら、一般の目には“ただの民家”。
正門の位置すら案内がないって、もはや地域のやる気どこいった?
地元の市議が「郷土愛を!」「愛国心を!」と演説してるのを耳にしますが、まず西福寺を何とかしろや!と思ったのは私だけではないはず。
“国を愛せ”という前に、まずは目の前の歴史をちゃんと守ってくれ。誰もが語れるように、誰もが歩けるように、西福寺の敷居の低さは物理だけでいいのです。
▼正門ルートも裏口体験も、この地図から確認できます。

たどり着けば、確かにそこにある――けど、たどり着けるとは限らない。
そんなスリリングな「西福寺ダンジョン」。正門探しは、もはや歴史探訪型アドベンチャー。
挑む勇気とちょっとの地元知識を持って、いざどうぞ。
西福寺の静かな境内を歩きながら、かつてこの地に生きた人々が掲げた「自分たちで治める」という理想を思い出したい。
👉山城国一揆:歴史の片隅で燃え上がった自治の炎
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