初めて来た岡山県の外れにあるとある無人駅。線路は単線。
岡山駅に戻る電車を、待合室の掲示板を見ながらボンヤリ待っていた。人の気配はまるでない。
そこには、「恋山形駅」というピンク色の可愛い駅が紹介されていた。
土日祝日のみの限られた日限定だけれど、その愛らしい恋山形駅に電車が25分間停車するらしい。
恋山形駅にある販売機では、恋山形グッズなるものが販売されているそうだ。
そこでハート型の絵馬を買い願い事を書いて、さらに「恋が叶う」と言われている鐘をならし絵馬を飾ると、恋が叶うという。
また、恋山形駅にある、「恋ポスト」に手紙を投函すると、ハート型の風景印が押されるのだそう。

こんな可愛い駅みたことないし、折角なら行ってみたいな、ちょうど駅に25分間とまる奇跡的な日だし!とちょっと心に浮かんだものの、岡山駅では新幹線の乗車予約券を既に取得済みで、恋山形駅って鳥取県だそうで、時間が間に合わなくなる!ってことで脳内却下。
さて、広告をボンヤリ眺めていたらメールがきたので少しやり取りをしていた。その途中で、
電車が来た!
14時03分の電車で岡山駅行きの電車に乗る予定で、時計を見ると14時ジャスト!だった。おーこの電車か!と慌てて電車に飛び乗った。

実はこの駅に来る時は、装飾された可愛らしい電車だったのだが、今回はまるで普通の電車だった。
まぁいろんな電車の種類があるんだな~と安心していた。たった一車両の小さい車内には、
運転士さんと私と30代とおぼしきみるからにオタクってわかる感じの男性が一人乗っているだけだ。
空いた車内で流れる景色を優雅に眺めながらお茶をのむ。くつろぎのリラックスタイムを堪能した。
が、しばらくしてから気づいた。あれ!?なんか違う!
不思議に思って恐る恐る運転士さんに聞いてみると、やはり反対方向の電車に乗ってしまったことがわかった。
軽くぱにくる私。岡山駅という目的地と希望到着時間を言ってどうしたらいいか聞いてみた。
こんなのまるで期待していなかった。なんと、運転士さん、時刻表やらが全部脳内にインプットされているらしい。
こういう手段があります、と複数ルートを提示してくれた。
しかも本来、到着したかった時間にも十分に間に合う時間だ。お金こそ数百円だけ支払わなければならないが、
乗り換えはスムーズ、電車の待ち時間もなし!で実に完璧。
そして、驚いたのがここから。ホッとして座席に座り、やっぱ私って運良いわ~と感動していたのだが、
そこでふと、信じられないことに気づいた。間違って電車に乗った事で、さっきまで行ってみたいな~
と軽く思っていた恋山形駅に、この電車、停まるのだ!ちゃんと25分間も停車する!

ついに、恋山形駅に到着。
私以外のたった一人の乗客である男性は、アニメキーホルダーがじゃらじゃらついたリュックを背負いながら、
運転士さんの元へダッシュ!「絵馬は!?絵馬はどこにあるんですか!?」と興奮した口調で問い詰める男性。
そして、運転士さんから回答を引き出すと、踊るように電車から飛び降りた。その姿はまるで水を得た魚、そのものだった(笑)
折角なので、私も恋山形駅に降り立ってみた。駅の看板もハート型。「恋山形」という可愛らしい駅名。駅全体がピンク色。壁も椅子もハートだらけで、まるで”恋のテーマパーク”のようだった。

日本には4つの「恋の駅」があるという。
・JR北海道 母恋駅
・三陸鉄道 恋し浜駅
・西武鉄道 恋ヶ窪駅
・智頭急行 恋山形駅
ここは、智頭急行・恋山形駅だ。他の3つの駅にも実際に行ってみたくなった。
「恋ヶ窪駅」は関東に住んでいた時何度か通過したことある気がするが特に意識していなかった。
さて、恋山形駅に降りた男性はというと‥‥ハート型の絵馬に何事かを書き記し、恋が叶う鐘をならし絵馬をぶらさげていた。
すでにそこには多くの人の恋の想いをのせた絵馬が沢山ぶらさがってあった。

こういった特徴ある駅は地方活性にもつながるし良いアイデアだなって思った。
しかもあのハート型の絵馬の自販機がある待合室の名前はなんと、「恋の待愛室」ハート型のテーブルが置かれている。
もともとの駅名は「因幡山形」になる予定だったという。しかし地元住民が
「山形地区に来い!」という思いを込め「恋山形駅」って名付けたそう。

思いがけずこんな可愛い駅に25分も滞在出来て本当にラッキーだったなって、これまた自分の幸運に胸を躍らせた♪
旅って、予定通りじゃないほうが面白い。
まるで「恋」と同じで、思いがけない方向に進んだほうが、心に残る。
ちょっとアクセス悪いですが、可愛らしい駅に胸躍ること間違いなし!ハート形の郵便印も体験したい。

恋山形駅 写真一覧



















2021/11
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