山奥に残る南朝の宮殿 ― 天川村・黒木御所跡

山奥に残る南朝の宮殿 ― 天川村・黒木御所跡

🦌 奈良県の史跡

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奈良県の山深い天川村は、現在ではバーベキューやキャンプ、芸能関係者が訪れる天河大辨財天社で知られる地です。しかしこの地は、南北朝時代に南朝の拠点の一つとして歴史に刻まれました。

その象徴が「黒木御所跡」です。後醍醐天皇の皇子・護良親王らが吉野から逃れてきた際、地元豪族・竹原八郎宗親の支援を受けて建てられた仮の御所であったと伝えられています。天川村にはほかにも南朝ゆかりの行宮が点在していました。

1348年には足利方の高師直軍が吉野を攻撃し、吉野山全体が火に包まれました。皇居や金峯山寺の蔵王堂を含む多くの堂宇が焼失し、蔵王堂の再建には約100年を要したといわれます。こうした戦乱の中で、黒木御所は南朝の人々が一時を過ごした重要な場となりました。

現在、現地には石碑や簡素な遺構が残り、訪れる人々にその時代の記憶を静かに語りかけています。山深い自然の中に佇む跡地は、激動の南北朝史を今に伝える貴重な史跡です。

黒木御所跡として残されている土地は、現在では一軒家と小さな庭ほどの広さしかありません。決して大規模な遺構ではありませんが、綺麗に手入れが行き届いており、地域の人々に大切に守られていることが伝わってきます。

かつて南朝の人々がここで再起を願い、必死に戦い続けたことを思うと、その歴史の重さとは裏腹に、跡地を包むのは静かで穏やかな空気でした。小さな草地に立っていると、妙な安心感に満たされ、いつまでもここに居たいと思わせる不思議な場所です。


後醍醐天皇の8代前の御嵯峨天皇が、長男を退位させ、目をかけていた次男を天皇の位に就けてから、従来の一系統の皇位継承が崩れました。以来、持明院統(御嵯峨天皇の長男系)と大覚寺統(御嵯峨天皇の次男系)という2皇統が交互に天皇となる両統送立時代へと突入しました。さらに同皇統内でも次男でも天皇になっていいんですよね!と認識され、天皇の座を早く譲り渡すようせっつく順番待ち行列状態に。よって、天皇の在位期間は短くなり中には2年半で交代した例もあります。

そんな中、後醍醐天皇はついに改革に乗り出します。持明院統を排除し、自分の子どもだけで皇位を独占し、従来の一系統の皇位継承へと戻そうとしました。そしてさらに、武家が政治を司るのではなく、天皇が君臨し政治を行う従来の体制への回帰も模索しました。

皇子を各方面に派遣し工作を行わせると共に、武家・公家・寺社勢力など各方面に天皇に権力を取り戻すための戦いに味方するよう呼びかけを行ったりしました。見事、政治の実権を取り戻した後醍醐天皇は、あろうことか武士を政治から排除。武家からの猛反発にあい建武の親政は失敗に終わり、吉野郡天川村に逃げ隠れる事となりました。

国を真っ二つにわけ戦い合う56年間に及ぶ南北朝時代の幕開けです。

その後、何度も南北朝合一が幕府と共に模索されましたが、結局合一に至ったのは室町幕府三代将軍足利義満の時でした。後亀山天皇は幕府からの好条件の提示を丸々とのみ、半世紀ぶりに京へ戻り、三種の神器を後小松天皇に渡しました。

しかし、その約束が果たされることなく、1410年、後亀山天皇一行は再び吉野へと脱出しました。1443年には後南朝の武士団が京都御所に夜襲をかけ三種の神器の神璽 (玉) と宝剣を奪回。神璽 (玉) はこの後約15年間、南朝勢力が保持し続けます。

後亀山天皇の孫である尊秀王は、自らを自天王と称し、弟と共に抵抗運動を続けました。しかし御家再興のため幕府からの密命を受け後南朝の味方と称し入り込んだ赤松家により1457年、川上村の御所は急襲され、自天王を称する尊秀王ら兄弟は殺害され御南朝は実質的に滅亡しました。

しかし、南朝の子孫として「熊沢天皇」と称する者が登場したり、南北朝時代の影響は今でも影を落としています。天川村・川上村ともに当時逃れてきた天皇一行を支えた村の郷士たちの子孫によって560年以上、そして680年以上経った今でも朝拝式が行われているのには静かな感動を覚えます。


政治権力をも握る天皇君臨時代の再現のために戦った天皇や皇子たちそして郷士たちの歩いた山村を歩いてみませんか?
南朝黒木御所跡から徒歩数分のところには天の川温泉などもあり、至福ののんびり時間を堪能できます。
キャンプやバーベキュー会場も近く。緑に囲まれた癒しスポットです。

Googleマップ:南朝黒木御所跡

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